kolmas.tech note

雑記と思索、偏った技術の覚え書き

ランダムタイマー

長男も次男もスマホで動画観るのが好きである。1

とは言っても、彼等が自身のスマホを持っているわけでは当然なく、妻や私のスマホで観せている形である。その場面は、概ね次の二通りである。

  • 彼等にとってとても嫌な事をしなければならない時に、暴れる彼等の気を逸らすものとして。典型例は床屋での散髪。2
  • 特に長男について、身に付けてほしい行動を強化する好子として。

ここで注目するのは後者である。スマホで動画を見る事は長男にとって強烈な好子になっている。例えばトイレで用を足すという行動について、スマホ動画を好子として用い、定着させる事が出来つつある。もっとも、ここ最近は動画見たさにさして差し迫ってもいないくせにトイレに行きたがるようになり、これはちょっと如何なものか、という節もある。ABA的手法の導入においては常に、何を強化しているのか、あるいは何を強化してしまっているのか、を意識しておく必要3があろう。望ましい行動を狙って明確に強化できる枠組みを考えなければならない。

というような問題はあるものの、それでもスマホ動画が長男にとって強い好子である事は事実なので、上手く活用できれば良いとも思う。ここで、強化のテクニックには部分強化4がある。一定程度定着してきた行動に対して、好子を与えたり与えなかったりする事で、その行動をより強固に定着させる事が出来る。人がギャンブルにハマるのと同じ理屈である。という訳で、スマホ動画による強化を部分強化にする事を考えたい。

しかし、スマホ動画の「引き」が強すぎて、対象の行動に対して全く見せないと怒り出す所がある。怒るのを宥めるために見せるというのはABA的に見て明らかに悪手である。そこで、スマホ動画を見せたり見せなかったりするという事に代わる次善として、見せる時間を明確に決めて、その上でそれをランダムにするという事を考える。療育の先生5にこのアイデアを相談してみた所、そんなに突飛な発想ではなく、海外のもので、毎回ランダムな時間を測ってくれるタイマーのアプリもあるらしい。

確かに、都度ランダムな時間をタイマーに設定するのは手間であるから、そのランダム時間を作ってくれるタイマーがあると便利そうである。ただ、上述の海外アプリは現在非公開で入手できないのだそう。となれば、作ってしまえば良い。

無ければ作れば良いじゃない

という訳で作ってみたのがこちら。ウェブブラウザ上で動作する。 kolmas-tech.github.io 極々シンプルなプログラムで恥じ入るばかりであるが、一応GitHubで公開している。そんなに分かりづらいものではないと思うが、使い方も以下で説明している。 github.com

スマホのウェブブラウザで動かす事を想定している。とはいえPCのブラウザでも同様に動作する。標準化様々である。縦画面でも動くが、基本的には横画面で使う想定。我々の現役のスマホは、それこそ動画を見せる事に使ってしまうので、このタイマーのためには使えない。そこで、2020年まで使っていたのを保管しておいた、私の一代前のスマホ=iPhone 5sを引っ張り出してきた。古すぎる端末にはセキュリティ的懸念もある6が、このタイマーにしか使わないし、使わせない。

私のiPhoneとしては二代目である懐かしの5s。電池が完全に干上がっていて再充電に時間がかかったが、このタイマーを動かすくらいなら何とかなる。

が、あまりに古すぎて最初に作った上記リンクの版は、一部7がそのまま動かなかった。そのため以下の代用版も作成。 kolmas-tech.github.io

使ってみたところ

長男の最初の反応はまずまず良好だった。元々カラフルなものが好きなので、虹色が流れる見た目になっている残り時間のバーがウケたようだ。そもそもスマホ動画を見せる時のタイマーとして作ったのだったが、最初数回は、スマホ動画すら要らずこのタイマー自体が好子になったようである。妻からは、残り時間バーに飽きてきたら他の模様を追加するのも良いのではないかとの意見があった。こちらは要望に合わせて追加実装したい。

とはいえ、流石に数回の後にはタイマーだけだと好子として働かなくなったようで、今は元の想定通りにタイマーとして妻に使ってもらっている。タイマーが鳴ったらスマホ動画が終わるということは長男も何となく分かっている8様子。今後しばらく経過観察が必要と思われる。妻からは、タイマーがあることでスマホ動画をだらだらと見せ続けてしまう事が抑止されるとの感想があった。

尚、上掲の5年ぶり復帰のiPhone 5sの電池は、このタイマーを時々使うだけであれば、二日半程度なら持続する模様。それだけ持てば上々か。

参考記事

qiita.com 我が家での実際の利用端末として想定した上掲のiPhone 5s、その頃のiOS Safariでは、脚注でも触れているdialog要素がそもそも対応外なのでどうしようもない=それ故に代替版を作成したのだが、それ以外に嵌った点として、setTimeoutsetIntervalで仕掛けるアラーム音が鳴らないという問題があった。タイマーとしては致命的である。しかも、同じプログラムであるにも関わらずPCのブラウザやiPhone XSiOS Safariではちゃんと鳴る。上記記事を読んで解消。


  1. 本筋に関係ないが、YouTube等の動画配信サービスにおける自動リコメンド及び自動再生機能は、こと子供が見るという点においては、悪い文化であると思う。飽きずに際限なく見続けられてしまう。また、いつの間にかよく分からない言語の歌とか聴いていて、動画を見てない時にまで、その英語ですらない謎言語で突然歌い出したりする。
  2. もっとも、ここ最近は長男も次男も、散髪であれば動画なしでも少しは我慢出来るようになってきた。暴れたら動画が観れるということを強化するのも良くないし、これは望ましい傾向。
  3. このことについては別途書きたい。
  4. 「間欠強化」とも言われている。「好子」も含め、この辺りの言葉遣いは今読んでいる本のものに従う。この本については別途書きたい。
  5. 何人かの先生に見てもらっていて、その内の一人。
  6. iPhone 5s対応の最新iOS=iOS 12の最新セキュリティアップデートは2年前。その点では、この5sの跡を継いで今の私の現役スマホであるiPhone XSにも、そのうち換えなければならない時期は来る。www.itmedia.co.jp
  7. 具体的に何が駄目だったのかというとHTMLのdialog要素。タイマーの設定画面等で使っている。iOS 15.4以降でのサポートらしい。caniuse.com
  8. 分かってはいそうであるが、それに納得して素直に引き下がってくれるかは別の問題。